テンカラ雑記

木村屋の郡上テンカラの使い心地

昨年の9月、ネット検索していたら偶然見つけた木村屋の「郡上テンカラ」。何となく気になり、長さ3.8mを入手し、続けて3.3mも注文。 昨年の9月から使い始め、オフシーズンの管釣り、大芦川のヤマメ釣り、盛期の岩魚釣りと、1シーズン使ってみての使い心地について書き記します。

大手のメーカーの竿は自作ラインに合う竿が無い

そもそもテンカラを初めて二十余年、ダイワの「SZテンカラFS」を15年間愛用し、テンカラ釣りを楽しんできましたが、販売終了から10年以上過ぎ、将来的にスペアパーツの入手が困難になるのは明白。 そこで、思い切って愛用のテンカラ竿を総入れ替えしたわけです。最初に購入したのは、前モデルのダイワのNEOテンカラのLTとLL。 ちなみに私が使用している仕掛けは、ナイロンの蛍光ライン2号の4本撚り+3本撚りを繋いだ自作テーパーライン(開けた渓では竿の長さ+1m~3m)に、0.6号のハリスを1ヒロの比較的軽量で長めのラインを使っています。このラインをSZテンカラFS4.0の6:4調子で、ポイントに打ち込む感覚で使っていました。 NEOテンカラを手に取って、最初に感じたのは「竿が太い」という事。最初の試し釣りで、自作のテーパーラインを結んで竿を振ってみると、バランスの悪さに閉口。翌日は肩・首回りの筋を違えてしまいました。(決して竿が悪いというわけではなく、あくまで自作ラインとの相性の問題です。フロロのレベルでは全く問題ありませんでした。)

ロングラインが苦手でした

郡上テンカラ3.3 自作ラインとの相性の悪さに我慢できず、使い始めて1シーズンも経たないうちに別の竿の物色を開始。 この郡上テンカラが、ネットショップで目につき、何気なく注文してしまいました。
手元に届いたのがシーズン終了間際の9月、シーズン最終釣行の檜枝岐で、さっそく使ってみました。 支沢で3.3m、本流で3.8mを振ってみましたが、まず柔らかい竿というのが第一印象。さらに3.8mに本流用の重めのロングラインを結んで振ってみると、ラインの重さでキャスティング時に竿がぶれて、思った方向にラインが伸びてくれません。 しかし、支沢の釣りで3.3mの竿が絶好調で岩魚を連発し、郡上テンカラの評価がアップしました。しかしながら、取り込み時の竿先の柔らかさが仇になり、足元に寄せた魚がコントロール不能になるのがマイナスポイントに。

テンカララインの長さは竿と同長まで

テンカラ竿と岩魚5月末の渓流シーズン盛期、比較的開けた渓流で、郡上テンカラ3.3mを使ってみる。ここはラインを竿と同じ長さの物を結ぶ。水面上を流れるエルクヘアに素直に出る岩魚。竿と同長のラインだと、27cmのサイズでも普通に寄せられる。
穂先・穂持ちが柔らかいので、ラインの長さは短めが合います。

自作ライン+伝承系毛鉤と相性良し

久々のヒレピン尺岩魚6月末、パラシュートを結んで流してみるが、水面上を流れる毛鉤には激しく出て、毛鉤を咥えてはくれない。フライマンに責められたのか、水面上の毛鉤にはスレていたので、毛鉤を伝承毛鉤に変えてみました。仲間のフライマンと二人で遡行したのですが、エルクヘアには乗らなかった岩魚にも、伝承毛鉤を水面下に流すと自然に出てくれます。
さらに同じ流れの筋から岩魚が3匹、立て続けに出てきました。午後も別の渓で同じ流れの筋で尺岩魚を筆頭に連チャン。
今まで使っていた竿にはなかった釣れ方に、郡上テンカラの不思議な釣り心地に魅了されていきます。

藪沢でも問題なし

7月の4連休も色々なシチュエーションで郡上テンカラを使ってみました。
七入の硫黄沢の堰堤下では、今まで出たことのないポイントから、フワリと浮いてきて毛鉤を咥えた岩魚。ボサの多い藪沢での、短いラインで、魚を掛けた時の合わせも、柔らかい竿のおかげで、合わせ切れすることも皆無で、毛鉤の打ち込みのコントロール性も良かった。更に落ち込みのタルミに毛鉤を落とす釣りでも、そこかしこから岩魚が…たまたま今回が良かっただけ?

反応が良いのは、竿の柔らかさによるものなのか?

ゼンマイ胴伝承毛鉤で出た岩魚先調子気味の硬めの竿から乗り換えて、最初は郡上テンカラの竿の柔らかさに戸惑っていました。しかし、短いラインを使用することで、本来のこの竿の特性を生かせる事が、1シーズン使ってみてわかりました。 竿を柔らかくすることで、毛鉤を水面にソフトに着水させることができ、更に毛鉤を咥えた後も、魚を暴れさせない事で、他の魚に気づかせず、ポイントを荒らさない。これが郡上テンカラの特色なのかなと思っています。

スペアパーツの手配も迅速でした

大手メーカーの竿は、頻繁にモデルチェンジしてしまい、スペアパーツの確保がネックになり、長く使い続ける事が難しいのですが、販売代理店を通してのスペアパーツの手配も迅速でした。スペアパーツの価格も良心的で、竿の口栓を落とした時もすぐに手配してくれました。(金額は1,000円程と記憶)
長く使い続けられそうで、安心しています。

製造メーカー 木村屋のサイト

郡上テンカラの仕様・各部の作り

グリップ周りの造りは無骨な造りですが、竿を振っている分には全く問題ない造りです。また胴に巻かれたスクリュー状のカーボン糸の膨らみ部分で、塗装の色合いが微妙に変化していて、日差しに当たるとグラデーションの掛かった、ワインレッドの色合いが綺麗です。

まとめ

3.8mのモデルは手元が柔らかすぎるのか、風が強い時のコントロール性に若干難ありです。細身で柔らかな調子ですが、決して軟弱な竿ではなく、ハリがあって大物が掛かっても竿全体でパワーを受け止める、独特な調子の竿です。テンカラ釣りを長く続けているベテランの釣り師にぜひ試してもらいたいテンカラ竿だと思います。

2022/6/15追記

木村屋郡上テンカラの取り扱い関係者の方からご指摘を頂き、記事の修正を行いました。 修正前には”20年来モデルチェンジしていない竿”というAmazonのレビューを引用しましたが、頻繁に細かな仕様変更が行われているようです。

誤った内容に対してのご指摘がありましたので、ここに追記させて頂きました。

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